第8回 ボストンクーラー Boston Cooler
今回ご紹介するカクテルはボストンクーラーです。
このカクテルはラムベースの爽快感あふれる炭酸系ロングカクテルです。
甘酸っぱくてアルコール度数も10〜15度と飲みやすいので 人気が高いカクテルです。
まずレシピをご紹介しておくと
ホワイトラム 45ml
レモンジュース 15ml
シュガーシロップ 1tsp
以上をシェークしてグラスに注ぎ
となっています。
ではこのカクテルの発祥ですが ボストンクーラーという飲み物は19世紀末にはあったのではないかと言われています。
最初はアメリカ西部デトロイトのボストン大通りにあったアイスクリームパーラーで売り出しました。
ただその当時のボストンクーラーにはアルコールは入ってなくジンジャーエールにアイスクリームを浮かべた飲み物だったようです。
中にはメロンの器にアイスクリームを乗せたボストンクーラーも登場
そしてアメリカのジンジャーエールメーカーとして有名はVernorsはノンアイスクリームのボストンクーラーも売り出していきます(簡単に言うとジンジャーエールですよね😅)
というようにデトロイトでは様々なお店で、爽やかな炭酸飲料(主にジンジャーエールやルートビア)をボストンクーラーという名で売り出して行ったんですね。
カクテルブックに登場するのは 僕が調べた中でもっとも古かったのが
1922年に出版されたロバート・ヴァーマイヤー著の「Cocktails How To Mix Them」
ただこのカクテルブックにもノンアルコールカクテルとして紹介されています。
レシピはジンジャーエールとサルサパリラを同量で注ぐというもの
サルサパリラというのはあまり日本では馴染みがないですがこんな植物です。
という事で1920年代まではボストンクーラーと言うとノンアルコールの炭酸カクテルだったわけです。
その後どの時期にボストンクーラーにアルコールが入ったのかについてはハッキリとした資料を見つける事が出来ませんでした😅
ただ ここからは僕の想像ですが1920〜1933年までアメリカは禁酒法になります。その時に禁酒法の中でアルコールを飲む為に すでにノンアルコール飲料として有名なボストンクーラーにアルコールを入れたのではないか?
そして入れるアルコールはボストンの港に入ってくるラム(当時ボストンはラムの貿易港)だったのではないか?
と思っています。
以上ボストンクーラーのご紹介でした。
このカクテルは初心者にもアルコールが弱いという方にも飲みやすいと思うので是非お近くのバーで注文してみてください🤗
参考文献
https://wdet.org/posts/2016/07/25/83515-curiosid-whats-the-origin-of-the-boston-cooler/
第7回 コスモポリタンCosmopolitan
今回はコスモポリタンのご紹介をさせて頂きます😊
まずレシピですが
ウォッカ 30ml
コアントロー 10ml
ライムジュース 10ml
クランベリージュース 10ml
シェークしてカクテルグラスに注ぐ。
(ウォッカを5ml程減らしクランベリージュースを増やしても良いと思います。)
このカクテルは現在では世界中で定番の人気カクテルですね😊
1990年代から人気が出始めました。
アメリカの"キングオブカクテル"とも称されるバーテンダーDale DeGroffが流行を作ったとも言われます。
DaleDeGroff
(米Wikipedia参照https://en.m.wikipedia.org/wiki/Dale_DeGroff)
さらにその流行に拍車をかけたのが
1996年公開の映画「エビータ」
主演のマドンナが映画撮影の合間にコスモポリタンを飲んでいたと言われました。
そして1998年〜2004年に放映された大人気米ドラマ「Sex and the City」
このドラマは映画化もされましたがこのドラマの中で主人公達が度々コスモポリタンを飲んでいました。
それによってこのコスモポリタンというカクテルは不動の人気カクテルへとなっていくわけです。
ではこのカクテルの発祥ですが
人気カクテルなだけあって様々な説があります。
米の有名バー研究家Cheryl Charmingが2018年に発表した説には数人のバーテンダーが作者として登場しています。
①Neal Murray
1975年ミネアポリスの"コーク&クリーバー"というステーキハウスで「神風カクテル」のアレンジとして生み出したと言われています。
②Cheryl Cook
彼女が1985,86年に創作したという説。
その時のレシピは
アブソリュートシトロン
トリプルセック
ローズ社のライムジュース
クランベリージュース
というもの。
しかしアブソリュートシトロンが一般に販売されるのは1988年と言われておりCheryl Cookが創作したのはアブソリュートシトロンのテスト販売の時ではないかと思われます。
③Melissa Haffsmith-Roth と Toby Cecchini
1989年NYのオデオンというバーでこの2人のバーテンダーによって創作されたと言われています。
以上が代表的な説です。
他にはサンフランシスコのフォグシティダイナーで生まれたなどの説もありますが どの説も今のところハッキリとした確証はありません。
ただこのカクテルの原型は1930年代には生まれていたと思われます。
それは1934年出版の「Pioneers of Mixing at Elite Bars 1903-1933」
このカクテルブックは米の禁酒法後すぐに出版されたわけですがここに"コスモポリタンデイジー"というカクテルが登場しています。
(※デイジーとはカクテルのスタイルの一つで
スピリッツ+レモンやライムジュース+グレナデンシロップというものです😊)
そのレシピは
ゴードンジン 45ml
コアントロー 15ml
レモンジュース 15ml
ラズベリーシロップ 1tsp
名前、レシピからして今日のコスモポリタンを想像させるものですよね😊
ウォッカが欧州で一般に流通し始めるのが1930年代〜
そして米でウォッカが流行するのは第二次世界大戦以降と言われています。
この当時のカクテルブックにはウォッカベースのカクテルはほとんど登場しません。😅
まぁ 当時(1930年代)のカクテルの半分以上はジンベースと言われているのでベースがジンなのも頷けるところです^_^
以上がコスモポリタンのご紹介でした。
様々な説がありますが
甘酸っぱい味わいとピンクの可愛らしい見た目で女性には大人気のカクテルです。
(もちろん男性が飲んでもオシャレですね😊)
#岐阜 #カクテル #ヒューガ
#バー #Heuga #BAR #コスモポリタン
#ウンチク
第6回 ソルティードッグ
今回はソルティードッグをご紹介したいと思います。
グラスの縁に塩がついている見た目が印象に残りやすいカクテルです。
【レシピ】は
グラスの縁をレモン等で湿らせて塩をつけ、
ウォッカ 30〜45ml
グレープフルーツジュース 適量(60〜120ml)
というシンプルなものです。
🔴まずこのカクテルの名前についてですが
"船上で働く甲板員"が由来だという説が一般的です。
当時、船の上ではビタミン不足による壊血病という病が流行っていました。この壊血病予防の為に英海軍では柑橘類のジュースが推奨され、その中で お酒をグレープフルーツで割ったカクテルも飲まれていました。
そこから 潮風を浴び、額に汗して働いている"英海軍の甲板員"を指して"ソルティードッグ"と呼ばれるようになった。
とか、
船の上でお酒を飲んでいる時にグラスに波しぶきが入ったからソルティードッグと呼ばれた
などと言われています。
どちらにしても"海の男"をイメージした名前のようですね😄
🔴では発祥について掘り下げていきたいと思います。
このカクテル、元々はジンベースだったと言われています。英海軍が発祥ならそれも頷けますね😃(因みにウォッカが世界的に流行し始めるのは1945年以降です。)
そしてこのカクテルの原型になったのは
「Savoy Cocktail Book」(1930年初版) ハリークラドック著
にも掲載されている"グレープフルーツカクテル"ではないかと思います。
他にも「The Official Mixer's Manual」(1934年初版) パトリックGダフィー著
にも"グレープフルーツカクテル"は掲載されています。
どちらもジンベースで塩ではなく砂糖を加えてシェークするというレシピになっていますが
私はこれが原型ではないかと考えています。
それが1950年代に「ジンとグレープフルーツと塩をひとつまみ入れてシェークする」というレシピでソルティードッグというカクテルが登場し始めます。
1975年の日本のカクテルブック「カクテルと洋酒百科」藤本義一 著 にもジンベースのソルティードッグが掲載されています。
この頃になると塩はグラスの縁につけるスノースタイルになっています。😀
※海外webを調べてみると1930年のSavoy Cocktail Bookに掲載された"Greyhound"が原型と書いてあるページが多いのですが今回の調査でこのグレイハウンドは確認出来ませんでした😅
因みにこのグレイハウンドというのは犬種です。
このグレイハウンドは尻尾を股の間に入れ 尻尾が無いように見えるので
今でも塩なしのソルティードッグカクテルのことを「塩無し=尻尾無し」という事でテールレスドッグとかグレイハウンドと言ったりします。(同じ理由でブルドッグとも言います。)
🔴ではいつからこのカクテルがウォッカベースになっていったのでしょうか?
今回確認出来た最古の情報は
米で出版された1945年の「Harper's Magazine」です。
この記事にはグレイハウンドバスのターミナルのレストラン"ポストハウス"で「ウォッカにグレープフルーツと砂糖を入れたカクテル(グレイハウンド)が出されている」と書かれているようです。
(米Wikipedia参照
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Greyhound_(cocktail))
実際に第二次世界大戦以後からウォッカが流行し始めて様々なカクテルにウォッカが使用されていきます。
その流行の中ソルティードッグもジンベースからウォッカベースに変わっていったと考えられます。
ウォッカの流行はYouTube動画でお話ししております。よかったらご覧下さい。
まとめるとソルティードッグの原型は1930年以前にはありその当時はグレープフルーツカクテルと呼ばれ
ジン+グレープフルーツ+砂糖
それが1940〜50年頃に
ジン+グレープフルーツ+塩
というレシピが登場しソルティードッグと呼ばれるようになっていく。
そして第二次世界大戦以後のウォッカブームの中ウォッカベースのグレイハウンドカクテルも登場。
1970〜80年代に
グラスの縁に塩をつけるスノースタイル、そしてウォッカベースの現在のソルティードッグが主流になっていった。
という感じでしょうか?
ソルティードッグに関しては掲載されている古いカクテルブックが見つからずハッキリとした発祥年代がわかりませんでした。😅
しかし現在一般的なソルティードッグのレシピは案外最近のもののようです。(1980年以降)
一説にはソルティードッグコリンズが原型とも言われているのですがそのカクテルが掲載されている資料を今回は見つけることが出来ずソルティードッグコリンズの話は割愛致しました😅また詳しい資料が見つかればご紹介したいと思います。
第5回 ジンフィズ Gin Fizz
今回はジンフィズについてお話していきたいと思います。
ジン+レモン+シロップ(砂糖)+炭酸という清涼感のある世界中で愛されているカクテルです。
このカクテルはロングカクテルでありながらシェークもするので「初めてのバーでシェークするところを見たい」なんて方にもオススメです。(アルコール度数は15°弱です。)
アルコール感や甘味 酸味のバランスの取り方、シェークの技法、ソーダの扱いなどカクテル作りに必要な要素が存分に入っているのでバーテンダーの技量が出る一杯と言えるかもしれません。
現在の標準的なレシピをまずご紹介しておくと
ジン 45ml
レモンジュース 15ml
シュガーシロップ 1〜2tsp
※シェークして氷の入ったタンブラーに注ぎ
ソーダで満たす。
では始めに
「フィズ」についてお話したいと思います。
「フィズ」とは
蒸留酒+柑橘類ジュース(レモンやライム)+砂糖 をシェークして炭酸で満たす飲み方の事。
炭酸を入れた時に"シュワシュワ"と音がしますがその音が欧米人には"フィズフィズ"と聞こえるらしく、その音から「フィズ」と呼ばれるようになったと言われています。
蒸留酒を甘酸っぱい炭酸飲料に変えてくれるので世界中で人気の飲み方です。
ベースのお酒は何でも大丈夫👌ジンが一番有名ですがウイスキーやブランデー、ラム、テキーラなどなど。
蒸留酒じゃなくてリキュールをベースにしたピーチツリーフィズなんてカクテルもあります。
ではこの「フィズ」の発祥はいつなのでしょうか?
今回、確認できた最も古い資料はアメリカで出版された
「BAR-TENDERS GUIDE」(1876年版)
Jerry Thomas 著
※初版は1862年ですが初版本にはジンフィズは記載されてなく、この1876年の改訂版で初登場しています。
このカクテルブックの作者ジェリー・トーマスは「カクテルの創始者」なんて呼ばれている方で、このジェリー・トーマスをフィズの発案者とする文献が多いです。
(ジェリー・トーマスについては また今度お話致します。)
レシピも現在のものと大きな違いはありません。(表記がFizzではなくFizになっていますが😅)
「The MODERN BAR TENDER'S GUIDE」
O・H・Byron 著
にも記載されていて19c後半にはこの「フィズ」という飲み方はバーでは認知されていたようです。(O・H Byronの本には"フィズグラス"という記述もあって専用グラスまで存在していたようです!)
因みに1950年頃に出版されたフランス料理の本にも「フィズ」は登場していて、このカクテルがいかに人気だったかがわかります。😊
では最後にジンフィズのバリエーションとして有名な「ラモスジンフィズ」をご紹介して終わりたいと思います。味は乳酸菌飲料のようなミルキーでサッパリという感じです。😊
【ラモスジンフィズ レシピ】
ジン 60ml
レモンジュース 15ml
ライムジュース 15ml
シュガーシロップ 20〜25ml
生クリーム 15ml
卵白 1個
オレンジフラワーウォーター 3dash
※シェークして氷の入ったグラスに注ぎソーダで満たす
このカクテルは1888年にアメリカ ニューオリンズの"インペリアルキャビネットサロン"のバーテンダー、ヘンリー・ラモスが発案したものだと言われています。
このカクテルは卵白が入っているので混ざりにくいです。
そこで当時のレシピには12分間シェークすると書かれています❗️❗️
12分間なんて一人ではとてもシェーク出来ません。😭
そこで当時は「シェークボーイ」という役割があって数人で交代で振っていたという話もあります。
以上ジンフィズのお話でした🤗
是非お近くのバーで飲んでみて下さい😊
●ジンフィズのYouTube動画はこちら
●ジンフィズにも使う
シュガーシロップの作り方動画はこちら
第4回 トニック銘柄紹介
今回はトニックウォーターの銘柄紹介をしていきたいと思います。
では 早速 定番トニックウォーター3銘柄から
(日本国内で販売されているこの3銘柄にはキニーネは入っていません😅)
①【シュウェップス】
この銘柄はバーで最もよく見かけるかもしれません。甘すぎずスッキリとした飲み口、しかもスクリューキャップなので封を開けた後も保存がしやすいトニックウォーターです。
1783年にスイスのジュネーヴで創業し 1792年にロンドンへと移転しています。
創業者はドイツの時計職人ヤコブ・シュウェップ。 この方が炭酸ミネラルウォーターを作る機械を発明したのが始まり。
当初はソーダメーカーでしたが
1835年にはレモネードを発売
1837年には英王室御用達のソーダメーカーとなり
1851年には第一回ロンドン万博に招待され世界の人々に商品をアピールしています。
因みにこの時に大きな噴水のモニュメントを展示したことがキッカケで今でもロゴには噴水の絵が描かれています。
1870年にトニックウォーターを発売しています。
②【カナダドライ】
このブランドはジンジャーエールで有名ですがトニックウォーターも販売しています。
シュウェップスより少し濃い味わいだと思います。
1890年にその名の通りカナダ(トロント)でソーダメーカーとして創業しています。
創業者はジョンJマクローリンという薬剤師さん。
1904年にこのジョンJマクローリンは仏のシャンパンに感動してノンアルコールのシャンパンは作れないものかと試行錯誤してカナダドライジンジャーエールを生み出したと言われています。(ドライとついているのは他のブランドのジンジャーエールより甘くないですよという意味)
このブランドは他にも色々な商品を生み出していますが大手ブランドとしては初めてシュガーレスの炭酸清涼飲料を作ったと言われています。
③【ウィルキンソン】
これは国産のブランドです。
味わいはスッキリしています。キニーネは入っていないのにトニックウォーター本来の薬っぽさというかハーブ、スパイス感みたいなものを感じると思います。
発祥は1889年に日本在住のイギリス人 ジョン・クリフォード・ウィルキンソンが兵庫県西宮で天然炭酸の泉を発見した事が始まり。
その翌年1890年にはボトリング工場を作り生産を開始。1901年には日本で初めて清涼飲料水に王冠を使用しました。
トニックウォーターの発売は1945年、戦後になってからです。
因みにウィルキンソントニックウォーターの苦味はニガキという樹皮から精製されています。
ここからはプレミアムトニックウォーターと言われる4銘柄。キナの抽出物(キニーネが入っているかも?😅)が入ったトニックウォーターです。
④【フィーバーツリー】
これは日本で最初に流行したプレミアムトニックウォーターと言っても良いと思います。
味わいはキナの抽出物が入っているだけあって
苦味もしっかり感じ、甘さ控えめのトニックウォーター。
2005年にロンドンで創業しています。コンゴ産天然キナの抽出物を使い 人口甘味料、香料、保存料は一切入っていないというこだわりのトニックウォーターです。
⑤【ファンティマンス】
〔こちらは旧ボトル、この頃の方が酸味は少なかったように思います〕
創業者はトーマス・フェンティマンス。
1905年イギリスで創業。独自のボタニカル醸造の技術を使ったトニックウォーターで(ジンのボタニカルとして有名な)ジュニパーベリーとカフィアライムの葉(コブミカンの葉)が入っています。
ジュニパーベリーが入っているという事でジントニックには相性が良いトニックウォーターと言えるかもしれません。
他のブランドに比べると酸味が強めでハーブ感豊かです。
因みにこのブランドはコーラでも有名でコーラはかなり薬っぽい独特のコーラです。(コーラでは美味しさ世界一にも輝いています)
⑥【Qトニック】
NY生まれのブランドでテキーラの原料アガベ(竜舌蘭)とキナの樹液、レモン果汁の3種類だけで作られたトニックウォーターです。
味わいはしっかりとした苦味とシトラス感。
アガベを使っているのでテキーラトニックには最適かもしれません😊
⑦【neoトニック】
このプレミアムトニックウォーターは国産です。佐賀県のブランドでシークワーサー果汁が入っています。バーテンダーが監修したトニックウォーターということもあってカクテルには使い易いスッキリとした味わいです。ハーブ感は他のプレミアムトニックに比べると弱めの印象です。
以上がトニックウォーターの銘柄紹介でした。
定番か?プレミアムか? キナの抽出物は入っていた方が良いのか?などは本当に好みだと思いますが キナ由来の苦味は他の苦味成分と比べると舌への吸着が弱いと言われていて 飲むほどにジワジワと重みを感じていき 後を引く心地良さもあります。
清涼飲料としてより飲み易いのが定番の①〜③
キナ由来の苦味で大人の清涼飲料が④〜⑦という感じです。
プレミアムトニックウォーターは味がナチュラルなものが多いので蒸留酒の品質をそのまま伸ばしてくれる感じがあり、高価格帯の蒸留酒を使う際にはプレミアムトニックウォーターの方がオススメです。
また定番トニックウォーターはその味わいで蒸留酒の風味をフォローしてくれると思います。
以上、トニックウォーター銘柄紹介でした。😊
トニックウォーターのYouTube動画はこちらからhttps://youtu.be/q1loCT6IB1E
第3回 トニックウォーターについて
YouTube動画はこちらからhttps://youtu.be/q1loCT6IB1E
今回はトニックウォーターについてお話させて頂きます。
「そもそもトニックウォーターってなんなの?」という事なんですが 簡単に言ってしまえば甘味、苦味の入った炭酸清涼飲料水です。
(世界最古の清涼飲料水なんて言われたりもします。^_^)
他の炭酸系の飲み物と違うのはやはり苦味が入っているという事。
ではまず「Tonic」という名の語源からですがギリシャ語の「Tonos トノス」からではないかと言われています。その意味は「緊張」。そこからこの言葉が「健康的、強壮的」という意味になっていったそうです。
ですから今でも「ジントニックには「元気づける」という意味があるんですよ」なんて聞いた方もいらっしゃると思いますが それはこの「Tonos」からきているということです。
では次にトニックウォーターの特徴でもある苦味はどこからきているの?という事なんですが
これはキニーネという成分に由来します。
もともとは南米ペルーで原地の人々が解熱剤としてキナの木の樹皮を服用していました。
それをスペイン人がヨーロッパに伝え、薬として広まっていきます。(宣教師が持ち帰ったので「イエズスの樹皮」と呼ばれていたとか・・・)
そして このキナの樹皮にはキニーネという成分が含まれていて、しかもこのキニーネには抗マラリアの薬効がある事が発見され 当時人々を苦しめていたマラリアの特効薬として重宝されていきます。(17c)
ただこのキニーネ、とにかく苦くて飲みにくい!😩
そこでここに砂糖や炭酸、柑橘類で味付けをして飲みやすい飲料にしていった訳です。それが1771年頃、これが世界最古の清涼飲料水と言われる所以です。
1858年にはロンドン イズリントンのPitt&Coが
トニックウォーターの市販を始めています。
因みに前回の「ジントニックのお話」の中で薬のキニーネにジンも入れて飲んでいたからそれがジントニックの原型だと書きましたが
正確にはジントニックの記述が出てくる文献は
1868年の「Oriental Sporting Magazine」
この時には現在と同じように薬としてではなく
美味しい爽やか飲料として紹介されています。
(この頃のトニックウォーターにはマラリアへの薬効があるほどの量のキニーネは入っていなかったようです。つまり現在と同じように美味しい飲み物として楽しまれていたという事ですかね😅)
補足としてトニックウォーターに入るキニーネの含有量については各国で厳格な規則があります。(トランプ大統領が抗マラリア薬がコロナに効くなんて発言して話題になっていましたが、市販のトニックウォーターを飲んでもマラリア、コロナには効果はないと思います😅)
そして日本ではキニーネの食品添加は認められていません。ですから同じメーカーのトニックウォーターでも海外で売られているものとは成分が違います。
(大半の日本で販売されているトニックウォーターは ニガキ由来の苦味成分(クワッシャー)やシトラス由来の苦味成分(ナリンギン)で苦味を出しています。)
ただ ここでややこしいのが 日本ではキナの抽出物(キニーネも入っているのかも?😅)の食品添加は認められていて 現在ではこのキナの抽出物の入ったプレミアムトニックウォーターが人気です。次回は日本で入手できるトニックウォーターの銘柄をご紹介していきます。🤗
第2回 ジントニック
今回はジントニックをご紹介していきます。
ジンをトニックウォーターで割ったというシンプルなカクテルですがシンプルなだけにバーテンダーによって違いが大きく「バーの名刺がわりの一杯」なんて言ったりもします。
アルコール度数もバーテンダーによって違いますが一般的にはジンとトニックウォーターを1:2〜1:3で割るバーが多いように思います。
なのでアルコール度数は10〜15度くらいです。
日本のバーでは人気カクテルランキングで常に上位というカクテルですが欧米のカクテルランキングには出てきません。これは人気が無いという訳では無く ジントニックは"ジンのトニックウォーター割り"という認識でカクテルという認識をされていないのだと思います。(海外ではGin&Tonicと呼びますし😅)
だから勿論、海外でも人気です。
英首相チャーチルは
「ジントニックは英国全ての医師より英国人の命と心を救った」と語っています。
ではそんなジントニックの発祥ですが
その原型は18c後半だと言われています。
当時インドにいた英国人がマラリアに苦しんでいました。そこでマラリアの特効薬キニーネを飲む事になるのですが これがとにかく苦くて飲みにくい😭そこでキニーネに水(or炭酸)、砂糖、そしてジンを入れると飲みやすくなる事を発見!
これがジントニックの起源だと言われています。
(このキニーネという成分の入った飲み物がトニックウォーターとなっていく訳ですがトニックウォーターのお話は次回にします)
トニックウォーターが清涼飲料水として製造されるのは1771年、一般的に市販されるのは1858年という事で 現在のようなジントニックの形になったのは19cに入ってからと言ってもいいかもしれません。
因みにあの文豪ヘミングウェイもジントニックは好きだったようで
小説「海流の中の島々」の中で主人公トマスハドソンがビターズ入りのジントニックを好んで飲んでいるシーンを描いています。このビターズ入りのジントニックの事を"トマスハドソンスタイル"なんて呼んだりもします😊 因みにヘミングウェイが愛したジンはゴードンでした。
以上簡単なジントニックのお話でした。
初めに書きましたがジントニックは世界中で飲まれバーテンダーの個性が出やすいカクテルです。
「ジントニックは飲んだ事あるからいらない」なんて言わずに是非バーに行ったらそのバーのジントニックを飲んでみてはいかがでしょうか?